ジムでお客様からよく聞かれる質問のひとつに、「ウォーキングやランニングをすれば痩せますか?」というものがあります。
結論から言うと、有酸素運動で“大幅な減量”を期待するのは難しいと思います。もちろん脂肪燃焼効果はありますが、1日20〜30分のウォーキングやランニングで落とせる体脂肪量はごくわずかです。
たとえば、体重60kgの人が30分間ウォーキングしても消費カロリーはおよそ120〜150kcal。これはおにぎり1個分ほどです。つまり、「有酸素運動=痩せる運動」と考えると、努力に対して結果が見えにくく、ガッカリしてしまう人も多いのです。
では、有酸素運動は意味がないのか?
そんなことはありません。僕が思う有酸素運動の目的は、「トレーニングや日常生活で疲れにくい体をつくること」。つまり、“燃焼のため”ではなく、“体力を底上げするため”に取り入れることが本質だと思います。
有酸素運動がもたらす科学的なメリット
有酸素運動を続けると、心肺機能が向上し、血液を全身に送り出す力が強くなります。その結果、筋肉に酸素を効率的に届けられるようになり、同じ運動をしても息切れしにくくなります。
また、有酸素運動は副交感神経の働きを高め、睡眠の質や回復力を良くすることもわかっています。これらは筋トレの効果を最大限に引き出すうえでも、とても大切な要素です。
脂肪を燃やすことよりも、「エネルギーを生み出す体の仕組みを整える」ことこそが、有酸素運動の大きな価値だと感じます。
竹富島ランで感じた、有酸素運動の魅力
今回、3泊4日で沖縄の離島・竹富島に行ってきました。特に観光らしいことをしたわけではなく、ただ静かな時間を過ごし、心身ともにリフレッシュできた4日間でした。
とはいえ、島では“島ラン”という形で毎朝走っていました。いつも那珂川で走る時とはまったく違う風景。牛やヤギの姿を横目に、透き通った海風を感じながら走る時間は、まさに心が整うひとときでした。
距離やスピードを意識するのではなく、「体を動かす心地よさ」を感じながら走る。これこそが、有酸素運動の理想的な形なのかもしれません。自然の中で行う運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールを下げ、脳をリラックスさせる効果があるとも言われています。竹富島の“島ラン”は、まさにその効果を実感できる時間でした。
有酸素運動を「減量の手段」ではなく「体力作り」として
有酸素運動は、脂肪を燃やすための主役ではなく、筋力トレーニングや生活の質を支える土台のような存在です。筋トレで筋肉量を維持・向上させながら、有酸素運動で血流や心肺機能を高める。このバランスが取れることで、代謝の高い、疲れにくい体がつくられます。
「脂肪を燃やすために走る」よりも、「気持ちよく動ける体をつくるために走る」。その積み重ねが、日々の変化をつくります。
心と体を整える“動く時間”
何もしない時間と、気ままに走る時間。
竹富島で感じたこの2つの時間が、僕にとって最高のリフレッシュになりました
有酸素運動は、心と体を整えるための時間でもあります。ぜひ皆さんも、数字では測れない心地よさを感じながら、日常に少しずつ取り入れてみてください。

